「Innovation from Teenagers ~10代からの提言~」とは、県内の児童・生徒の皆さんから、企業、自治体といった「大人たち」に向け、SDGs達成のために「もっとこんなことをしたらどうか」という提案をぶつけていただく取り組みです。
今回のプレゼンターは、信州大学教育学部附属長野中学校3年の田鍋さん。日本人1人につき年間に41kgも捨てていると言われる「フードロス」を減らすため、家庭からできる活動についての提言をしました。
提言先はコープながの。テーマは「家庭で簡単!食品ロス対策!」です。
プレゼンの概要は以下の通りです。
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1)テーマ設定のきっかけ
・給食委員会の活動で毎日残飯の量を測っており、「この量の多さをなんとかしたい」
と食品ロスについて考え始めた。
2)食品ロスの基本情報
・食品ロス=本来食べられるのに捨てられてしまう食材のこと。
日本人の1人あたりの食品ロス量は年間41kg。
⇒毎日「お茶碗1杯分のご飯」を捨てているのと同じこと!
3)食品ロスの原因
食品ロスの原因は主に2つ。
❶事業系食品ロス
❷家庭系食品ロス
⇒その約半分が「家庭系ロス」!
4)家庭系ロスを減らすための提案
◎冷蔵庫の中身をきれいにする
・冷蔵庫の中身がすぐに分かれば、食材購入の重複を防げる
(冷蔵庫の中を賞味期限ごとに分けて整理するのもいいのでは?)
◎買った食材の写真を撮る
・いつ、何を、どのくらい買ったかが分かるので、期限切れに気づくことができる
5)まとめ
・今回提案した2つのことは、「誰にでも」「簡単に」できること。
より多くの人に課題に目を向けてもらうため、回覧板などで発信していきたい
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30万人以上の組合員を持ち、毎日約2万4000件もの宅配を行うコープながの。食品や文房具の寄付などSDGsにも積極的に取り組んでおり、「2030年までに食品廃棄物の50%削減(2018年度比)」といった目標も掲げています。今回は、総合企画室と組合員代表理事の方々にご参加いただきました。
実は、コープながのにはすでに「冷蔵庫チェッカー」というサービスがありますが、食品の入力に多くのステップがあり、正直なところあまり活用されていないとのこと。田鍋さんの「写真で管理」というシンプルで誰でも簡単に挑戦できる方法に膝を打ち、「大人ってどうしてなんでも複雑にしちゃうんだろうね・・・」と苦笑い。
その他にもたくさんの感想が挙がりました。
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・「冷蔵庫掃除」は耳が痛い話だけど、一番確実で大切なこと
・今週、自分でもうっかり食パンを3袋も買ってしまったが、
写真を撮ることで「購買」への意識をしっかりと持てるところが良い
・「週1回の宅配」という生協の特徴を、冷蔵庫の整理に活用できないか
・家電メーカーに「食材チェック機能」を持った冷蔵庫を開発してほしい!
・そもそも「給食の残飯」から「食品ロス」という
大きな問題に目を向けられたことがすごい!
また、「お家でこの取り組みを実施する場合の関わり方」を聞かれた田鍋さんは、「今、実際に家族で取り組んでいるところです。お母さんが、『歩佳がやるなら私もやらなきゃね』と協力してくれました」と回答。挑戦してみて、「家族全員がルールを把握し、守る」ことの難しさを実感したと話してくれました。
冷蔵庫は家族みんなが使うもの。しかし、「毎日の食事作り」「自分の好きなものを冷やしておく」「お腹が空いた時に食べ物を探す。いらないものは放置」など使い方はそれぞれなので、家族間での話し合いや協力が不可欠であることが改めて分かりました。
今回、田鍋さんはこの取り組みを周知する方法として「回覧板」を提案しましたが、大人からも次々とアイデアが挙がりました。
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・配達時に「食品ロス対策」についてのチラシを入れてみてはどうか
・冷蔵庫に張り付けられるマグネットシートを作るのもいいかも
・会社の近くに大きな看板を出して、車にもアピールできないか
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プレゼンを終えた田鍋さんは、「自分のアイデアが大人の人に認めてもらえて嬉しい」と満面の笑顔。
「自分で買ったものは自分で食べきる」。一見小さな取り組みにも思えますが、みんなでチャレンジすれば大きな成果にもなり得ること。「誰にでも」「簡単に」できる取り組みの素晴らしさを改めて実感できたプレゼン&ディスカッションになりました。