「Innovation from Teenagers ~10代からの提言~」とは、県内の児童・生徒の皆さんから、企業、自治体といった「大人たち」に向け、SDGs達成のために「もっとこんなことをしたらどうか」という提案をぶつけていただく取り組みです。
今回のプレゼンターは、長野県上田染谷丘高校1年の宮入さん。女性特有の悩みであり、体調不良や体の痛み、気持ちのアップダウンに苦しむ人も多い「生理」について、提言をしました。
提言先は長野県教育委員会。テーマは「女性がより生きやすい社会を」です。
プレゼンの概要は以下の通りです。
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1)10代からの提言
・男女ともに「生理」に対する理解を深め、
「我慢せずに休む」という選択を取りやすくするべきだ
・休みづらい雰囲気を改善したい
2)テーマ設定のきっかけ
・生理痛で具合が悪くても「毎月は休めない」と我慢して登校する友人がいる
・自分自身、休みづらいのが苦痛
・同じ女性同士でも理解や共感をしてもらえないことがある
3)現状
・「薬を飲めば大丈夫」だと思われてしまうことがある
・先生(や上司)が男性だと言いづらい。また、立場が上の人から理解が得られないと辛い
・男性や生理痛が軽い女性からの理解が受けられず、
具合が悪くても無理をしてしまうなど休みづらい雰囲気がある
・同じ女性でも人によって辛さは違うことや、生理中の体調不良だけでなく、
生理前にも「PMS(月経前症候群)」という症状が出て苦しむ人がいることは
学校では教わらないため、知らない人が多い
・生理休暇が取得しづらい。学校だと出席日数や部活動、
テストなどの関係で休むことをためらってしまう。
4)課題
・「薬を飲めば大丈夫」どころではない人もいる。辛さは人それぞれなので、
周りの人が決めつけないようにするべきだ
・「生理は恥ずかしいことではない」という意識が足りず、
「自分の辛さを言いづらい」と感じる人が多いことが一番の問題であると考える。
そのため、学校の性教育から見直すべきだ
・企業には「生理休暇」があるが、取得の基準があやふやな上、
症状が著しく重い人しか利用できない。
また、学校には生理休暇のような制度が一切ない
5)解決策
・義務教育の期間中の性教育では「女性には生理があります」という情報だけでなく、
生理痛のことやPMSのこと、辛さは人によって違うことを
男女問わず全員にきちんと教えることが大切だと思う。
男性についても同じようにしっかりと教えることで、男女の理解が深まると思う。
・生理を「恥ずかしいもの」だと感じるのは、学校で「子どもを産むための身体機能」
という知識しか教えてもらえなかったからではないかと考える。
もっと別の言い方に変えてほしい。
・症状が著しく重い病気などでなくても、「本人が辛いと感じた時」に休めるよう
法律を改善すれば、女性はとても働きやすくなると感じる
・学校など教育の場所でも「生理休暇」の導入をするべきだと思う
5)まとめ
・法律を変えなければ問題の解決が難しいほど、大きな問題なのだと実感した
・ジェンダーの平等を実現するには、多様な人々がお互いに歩み寄ることが
大切だと改めて感じた
・人の心に寄り添える人間でありたいと思う
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宮入さんは「生理痛」についての他、女性は男性に比べてライフステージによりキャリアに影響を受ける機会が多いことについても指摘。「ジェンダー平等は法律を変えなければならないほど大きな問題。多様な人々が歩み寄ることが大切で、自分自身も人の心に寄り添えるような人間になりたい」とプレゼンを締めました。
長野県教育委員会からは、高校教育課・学びの改革支援課・保健厚生課から各1名ずつご参加いただき、宮入さんのプレゼンについての感想をいただきました。
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・休みづらい雰囲気を無くすためには、先生はもちろん生徒一人一人の
理解を深めることも大切。学校で「生理」をテーマにディベートなどを行うのはどうか
・「生理で休むことで勉強についていけない」という場合は、ICTを活用して
オンラインで授業を配信したり、録画してクラウドにアップロードすることができそう。
生理以外の体調不良にも対応できるのでは(「出欠席」の判断については検討の必要あり)
・学校内でも提言を行い、啓発活動に挑戦してみては
・性教育等色々な場面を通じて、PMSや他者との違いを認め合う等、皆で考えていけると良い。
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今回、長野県教育委員会からの参加者には女性が多く、「生理の辛さ」に共感を示し、宮入さんに向けて「私はずっと声をあげることができなかった。ありがとう」と感謝を表す場面も。
宮入さん自身、生理について話題に出すことをタブーに感じることもあり、仲のいい友人同士のLINEグループの中では情報発信できても、その他の場では難しいと感じていたそうです。今後は「学校でも自分から情報発信していきたい」と話してくれました。