テーマ:地産地消
「Innovation from Teenagers ~10代からの提言~」とは、県内の児童・生徒の皆さんから、企業、自治体といった「大人たち」に向け、SDGs達成のために「もっとこんなことをしたらどうか」という提案をぶつけていただく取り組みです。
今回のプレゼンターは、上田染谷丘高校1年の市川さん。おじいさんおばあさんが畑でつくる果物や野菜を食べ、もっと「地産地消」を推進したほうが良い!と上田市に対してプレゼンテーションしていただきました。プレゼンの概要は以下の通りです。
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1)テーマ設定のきっかけ
・祖父母は野菜も果物もお米も育てていて、地元の食材を食べられることは幸せなことだなと食べながら思ったから。
・日本の食料自給率が世界と比較しても低いことを知って、解決するにはまずは「地産地消」が大切なのではないかと考えたから。
2)現状と課題
・日本の食料自給率が年々低下している。生産額ベースでもカロリーベースでも、昭和40年代の約半分程度まで減っている。
・トウモロコシ・小麦・大豆の輸入率がとても高い。(コメは国内生産でシェアがほぼ100%に対し、穀物3品目は90%以上を輸入に頼っている)
3)課題に対する提言
☆上田市内で、地産地消を強く呼びかける!
(例)・スーパーや飲食店で地元の食材を使ったお惣菜や料理、スイーツを提供
→地産地消に大きく貢献した店には何かプレゼントする!
・生産者の写真を付けて、地元食材を積極的に販売
→お弁当を作ってくれる母のことを思い出すと、残さず食べようと思う。スーパー等で買うものは、作ってくれる人の顔が見えないので残しやすいのでは?
☆米粉の積極的な使用!
・米粉を使用したグルテンフリー食品(米粉パン・フォー・米粉のお菓子など)の魅力を伝えて普及させ、小麦輸入量減少に努める(米粉を使った食品開発・販売を行う)
→私は今朝も、米粉のパンを食べてきました!
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★美味しく健康に、地球に優しい取り組みができる!
★地元の魅力を知るきっかけになる!
★生産者の写真をつけることで、食品ロス削減!
★輸入時の二酸化炭素排出量削減につながる!
4)まとめ・感想
◯長野県には海がないけれど、お米や野菜、果物など、美味しい食材がたくさんあるので、その魅力を地元の人にはもちろん、県外の人にも知って欲しいと思った
◯ひとりひとりが地産地消を心がけることで少しずついい方向に向かって行くと思う
◯長野県がもっと地産地消に取り組みやすくなると良いなと思った
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今回は、上田市の産業振興部 農業政策課の農産物マーケティング推進ご担当の3名の方々に提言を聞いていただきました。実は、上田市では「上田地産地消推進会議」という、生産者、消費者、流通事業者、商工団体などとともに官民一体の会議を組織し、農産物のブランド化、情報発信など地産地消の推進に日々取り組んでいるそうです。担当者の方々は、情報の発信に力を入れてはいるものの、市川さんに届いていないことに小さく肩を落としていました。
高校生はⅩ(旧ツイッター)やインスタグラムをよく見るので、見やすい環境を作ってもらえればもっと知る機会が増えると思う、と市川さん。今回インスタで上田市のことを検索してみたけれど、個人からの発信が多く、公式のものが見当たらなかったそう。もっと若者に興味がある地元のトピックスを取り上げ、アップするのがポイントではないか、たとえば最近では「レトロ」が流行なので、古着屋さんとかの情報をよく見る。「リポスト」できる発信がいいのではとの具体的なアドバイスに、市の方々は熱心に耳を傾けていました。
地産地消推進会議では、栄養豊富な旬のものが安く手に入る「直売所」の取り組みにも力を入れています。上田市は平成18年に合併して面積が3倍になり、多種多様な農産物の生産地になったため「なないろ農産物」と銘打ち、冊子などを作りPRしています。アリオ上田で開催する「なないろマルシェ」は、直売所が集まった地産地消のイベント。上田市の商店街でも直売所や地元の店に出店してもらい、地産地消をPRする「産直まつり」を開催するなど盛り上げを図っています。
米消費拡大部会では、米粉を使った料理を研究したり、米粉の魅力発信、普及活動をしているそうです。また長野県が育成した「風さやか」という品種は、冷めてもおいしいお米。消費拡大を目指し、おにぎりをマラソン大会で試食してもらったりしているそうです。
学校給食についても、「記憶に残る給食を!」と年に6~7回、企画給食を実施。子どもたちに地元農産物への興味を持ってもらうため、使っている地元の食材についてのチラシを配布。これまではズッキーニやうえだみどり大根などを取り上げたそう。収穫体験等も併せて実施して食育の活動をしています。
ブランド部会では、地元産の食材を使用している加工食品、飲食店、小売店、ホテルなどを認定し、PRにつなげているそうです。配られた「なないろ農産物」のPR冊子や市のHPには、それらの情報が掲載されていました。
多岐にわたる上田市の取り組みを知って、それらの活動を見逃していることに市川さん自身もビックリ。今回をきっかけに、パンフレットをよく見たり、ほかの子に話したり、地元の魅力を少しでも伝えていきたい、と話してくれました。
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地産地消をキーワードに、上田市が進める農産物の取り組みに対する情報交換ができた今回のプレゼンテーション。お互いに気づきや発見があり、今後に生かせそうな話し合いの場となりました。
今後、高校生にも上田市の情報が届き、市川さんのように地元の食への興味・関心を持つ人がもっともっと増えてくれるといいですね。