野村證券株式会社 長野支店
実施報告
掲載日:2025年05月14日
2025年2月19日、筑北村西条の日本ウェルネス高等学校で野村証券さんの出前授業が行われ、同校の1・2年生約52名が受講しました。地理総合の授業のSDGs学習の一環として実施された今回の出前授業。担当の九蘭浩太先生は、「楽しく学びながらお金に興味を持ってもらい、使い方にも選択肢があることを知ってほしい」と話しました。
●なぜ今、金融教育が必要なの?
本日お話してくださる講師は、野村ホールディングス(東京都)の福岡友輔さん。福岡さんはファイナンシャル・ウェルビーング室という部署で、幅広い世代が金融に関する知識や理解を深められるよう、全国の小中高校・大学などで出張授業やセミナーなどを行い、「お金に関する学びの場」を提供しています。
日本では、人とお金について語ることに抵抗を感じる人が多い傾向があるそうで、「日本は識字率も教育水準も高い国ですが、“お金の教育”はまだまだ遅れています」と福岡さん。現在、成人年齢が18歳に引き下げられたことで、高校生でも契約やローン、証券口座の開設などが自分の責任でできるようになりました。さらに社会全体がキャッシュレス化する中で、お金の実感が薄れがちな今だからこそ、学生のうちからお金に関する正しい知識や判断力=金融リテラシーを身につけることが必要なのです。
●「野村証券」ってどんな会社?
まずは「野村証券とは何か?」という基本的な紹介から授業がスタート。「証券会社は、主に株式を通して投資家のお金を増やすお手伝いをしている会社です。野村証券は今年創業100年を迎えた老舗企業なんですよ」と福岡さん。生徒の多くはその名前にあまり聞き馴染みがない様子でしたが、この“100年企業”という言葉に、教室内から驚きの声があがりました。さらに社員の約40%は海外で働いていると知り、国内の会社でありながら、世界で活躍するグローバルな側面に生徒たちも関心を寄せていました。
●自分の将来に備える「家計管理とライフプランニング」
今回の授業テーマは「自分の将来とお金の話」。本編では「将来、どんな人生を送りたいか」という視点から、家計管理とライフプランニングの大切さを学びました。
「家計管理」とは、「入ってくるお金(収入)」と「使うお金(支出)」をバランスよく管理すること。では具体的に想像できるよう、みんなが就職してお給料をもらうようになった時の例で考えてみます。
20代前半の社会人の月収は約21万円ですが、その中から雇用保険、健康保険、厚生年金、所得税、住民税などが控除され、実際に支給されるのは17万5千円ほど。月収のうち約2
割は控除されるという事実に、「そんなに引かれちゃうの!?」と生徒から驚きと戸惑いの声が聞こえてきました。福岡さんは「だからこそ、収入と支出のバランスを考えなくてはいけません。『収入ー貯蓄=支出』とするのが家計管理のポイント。収入をコントロールするのは難しいので、まずは『使う前に貯める』ことを意識しましょう」とコツを教えてくれました。
これを踏まえて、生徒たちは「25歳までにやってみたいこと・叶えたいこと」を構想し、そのためにいくら必要になるか?先ほどの手取り17万5千円のうち、いくら貯金するか?をワークシートに記入。実際に試算することで、計画的にお金を管理することがいかに大切か実感した様子でした。
続いて、生徒たちは就職してから20年間の具体的なライフプランを立て、その間にかかる費用を計算。ワークシートには、「結婚・出産関連費」「教育費」「住居費」などの項目があり、自分の構想するライフコースに沿って、子どもの人数や住宅購入の有無を記入していきます。例えば、22歳で就職、25歳で結婚、30歳でマイホームを購入、子どもを2人育てるライフプランの場合、20年間で必要な費用はなんと1億2880万円!子どもを私立の学校に通わせたり、車を購入したりするとなると、さらにお金が必要になります。
ワークを通して、生徒たちは「こんなにお金がかかるなんて…」「私立に通わせてくれる両親すごい!」など、自分の人生とお金の関係について真剣に考えるきっかけになったようです。
●お金を貯める・増やす方法は?
理想の未来をつくるには、それに見合った資金づくりが必要だと学んだところで、ではそのお金をどうやって準備するかを考えました。福岡さんは資産形成の基本として、お金を「預ける(預金)」「投じる(株式)」「貸す(債券)」という三つの選択肢と、それぞれのメリット・デメリットを紹介してくれました。投資のコツとしては、「分散・積立・長期」が重要とのこと。株価は社会や企業の情勢によって変動し、プロでも予測が難しいもの。相場のタイミングに惑わされず、毎月一定額を継続して投資することが、成功への近道になるということです。さらに福岡さんは、「この世に低リスク・高リターンの金融商品はありません!」と断言し、詐欺や誤った情報に惑わされないよう生徒たちに注意喚起しました。
●シミュレーションゲームで投資を体験
授業の最後には、投資体感ゲーム「つみたてGO!」に挑戦しました。東証株価指数をもとにしたグラフを見ながら、6カ月の間に「今だ!」と思うタイミングで購入ボタンを押すという内容。ボタンを押せるのは1回のみで、うまく買えれば株価が上がった時に運用益が大きくなります。60,000円ずつの購入を全6回、36カ月でどのくらい資産を増やすことができるのか…。それではゲームスタート!
生徒たちはそれぞれスマートフォンからログインし、ニックネームを登録。画面に表示される株価の上下にハラハラしながらも、慎重に「買い時」を見極めていました。最終的に、1位になった生徒は、運営益が+13万円ほどに!投資大成功に教室内から拍手が起こりました。参加者の中には、予算36万円を一気に投資した「一括購入さん」と、何も考えずに毎月1万円ずつ積立てをした「積立カメさん」もいました。最終的に一括購入さんは+36,000円程で52位中45位、逆に積立カメさんは13位と好成績でゴール。変動を気にせずコツコツ積立を続けることで安定した成果を出せることが、改めて実感できました。
今回の出前授業は、金融リテラシーを育むだけでなく、「将来の自分」に真剣に向き合う時間となりました。あと1.2年後に18歳を迎える生徒たちにとって、「未来への貯蓄」のきっかけとなる授業になったのではないでしょうか。
【参加された生徒さんの感想】
・投資は夢がある反面、リスクも高いものだから、焦らずじっくり待つことが大切だと学んだ。18歳になったら、投資を始めてみたくなった。
・生きていくだけでお金がこんなにかかるとは思わなかった。しっかりライフプランニングをして、資産形成していかないといけないと思った。
・学校の授業では、自分の将来とお金について学ぶことがなかったから、将来のことを考える良い機会になった。
・何も考えずにゲームや遊びにお金を使ってしまっていた。これからは計画的に支出を管理していきたい。