11/9開催 出前授業

実施報告

プラン・インターナショナルによる出前授業

団体名: 公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン

開催概要

長野県「信州つばさプロジェクト」 SDGsを学ぶツアーの事前研修が行われました

掲載日:2019年11月09日

県が独自に取り組む高校生留学支援プログラム「信州つばさプロジェクト」。


来年3月に「SDGs探求コース」で台湾とカンボジアにフィールドワークに赴く高校生参加者を対象に、事前研修として11月9日(土)、公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン 広報マーケティング部の内山雄太氏を講師にお招きし、世界各地での活動や経験について語っていただきました。



 


プラン・インターナショナルは1937年に誕生した国際NGOで、途上国の貧困問題の解決、特に子どもの権利の保護に力を入れて、世界70ヶ国以上で活動を展開しています。中でも内山氏はこれまで、カンボジアやベトナムなど内戦などによって荒れてしまった貧しい地域の学校建設に多く携わってきました。

SDGsでは「誰一人取り残さない」をテーマに掲げていますが、支援から取り残されている人々が途上国には大勢いると内山氏は言います。


とりわけ子どもの教育にかかわる問題は深刻で、学校のトイレが汚い、水が飲めない、教材や図書が不足している、そもそも教員のスキルが圧倒的に足りていないーという劣悪な環境を背景に、子どもたちが学校に行かない、行けない現実があります。


それらの問題を解決すべく、国や企業の支援を受けながら学校建設を進めていく中で、校内の環境が整うと、子どもたちの出席率は目に見えて上がりました。生き生きと学ぶ子どもたちの姿を目の当たりにして、人が生きていくために、いかに教育が大切かを改めて実感したそうです。


また、SGDsは先進国だけの問題ではなく、途上国含め地球に暮らす人々が一丸となって課題解決を目指すもの。そのためにも読み書き・計算など最低限の学力を全員に行き渡らせることがSDGs達成への一歩だと内山氏は言います。



さらに、途上国で過酷な環境に身を置いているのは「女の子」たちです。

途上国では、「女の子だから」という理由で虐げられ、家計の貧しさから本人の意思に反して13、14歳という若さで結婚し、出産する女の子が後を絶ちません。


会場では、その様子をドキュメンタリーで描いた「13歳の花嫁」が上映されました。

自分たちより年下の女の子たちが、早すぎる妊娠・出産により命の危険にさらされる姿、想像を絶するほど痛ましい状況に身を置く女の子たちの姿に、生徒の皆さんも衝撃を受けたようです。


早すぎる結婚の原因は「貧困」にあります。

彼女たちを救うには経済的な自立を促すこと、つまりきちんとした教育を施すことが必要です。また、女性の自立を促すことは、単にジェンダー不平等の解決に繋がるだけでなく、社会に様々なインパクトをもたらすと内山氏は言います。


例えば、

・すべての女性が中等教育を修了していれば、栄養不良による成長不良の子どもは1190万人(26%)減る


・教育を受けた母親の子どもは、教育を受けていない母親の子どもに比べて2倍以上学校に通っている


といった試算が出ているように、女性は身につけた知識やスキルを家族や地域社会、次世代に還元しようとする傾向があることから、貧困の負のスパイラルや子どもの教育問題を打破する大きな原動力となるとのこと。


発表のまとめとして、

SDGsの目標「4.質の高い教育をみんなに」「5.ジェンダー平等を解決しよう」の解決は、全ての開発目標達成のための基礎であり、要になるとと締めくくりました。


最後に受講生から国際協力の仕事のやりがいについて聞かれると、「仕事を通して国のリーダーたちと直接関わることができ、ネットワークが広がる。現地の人に喜んでもらえるのはもちろん、一国の政策を変えるような大きな仕事に繋がるのが醍醐味」と内山氏。「インターネットやSNSのおかげで世界がとのグっと近くなっています。若い皆さんにはどんどん積極的に外に出てチャレンジしていってほしい」と、受講者を励ましました。


内山氏の現地での活動体験談や学んだ教訓は、これからまさに世界へ飛び立とうとする生徒さんたちの背中を大きく押したことでしょう。