NAGANO SDGs PROJECT主催

実施報告

【SDGsってなんだろう?選択と行動で変わる私たちの未来】

団体名: 特定非営利活動法人長野県NPOセンター

 

 

 

開催概要

6月3日(金)中野平中学校で出前授業【SDGsってなんだろう?選択と行動で変わる私たちの未来】

掲載日:2024年04月27日

6月3日(金) 中野平中学校にて出前授業が開催されました。


【SDGsってなんだろう?選択と行動で変わる私たちの未来】


 


・講演:「SDGsってなんだろう?選択と行動で変わる私たちの未来」


・講師:特定非営利活動法人長野県NPOセンター 吉田百助氏


・受講生:中野市立中野平中学校1年生100名


 


今回、講演をしてくれたのは、特定非営利活動法人長野県NPOセンターの吉田百助さん。「百助(ももすけ)」という名前はペンネームで、長野の地域課題とNPOをつなぐ「ナガクル」というサイトで、多くの記事を書かれているそうです。ぜひ、サイトをのぞいてみてください。


 



  • 「知らないこと」は恥ずかしくない


講演の冒頭、吉田さんは体育館に集まった100人の生徒さんたちに、「みなさんは社会、世界のことをどれほど知っていますか?」と問いかけました。生徒さんたちはいきなりの問いに戸惑った様子。吉田さんは「今、何も知らなくてもそれは恥ずかしいことではありません。知らないままにするのが恥ずかしいことで、気になったことは納得するまで調べ、自分のものにしてください」と続けました。


 



  • 今、世界で起きていることを知ろう


SDGsが採択された背景の一つである地球温暖化。台風19号のような気温上昇による自然災害が世界で多発し、県鳥であるライチョウが全滅してしまう可能性がでてきたり、特産品であるリンゴの色づきが悪くなってしまったりと私たちの身近なところにも影響が出ています。また、温室効果ガスは伐採や火災などで森林が減少してしまうと、放出されるものでもあります。今のような生活が続き、温室効果ガスの排出を続けた場合、2100年ごろまでに最大4.7℃の気温上昇が起こるといわれているそうです。


この他にも、世界中で問題となっている海洋汚染。海岸に大量のプラスチックが打ち上げられ、プランクトンに混じったプラスチックを魚たちが食べ、その魚たちを食べることで人間の血液からプラスチックの成分が発見されたという事例もあります。こうした海洋汚染が続くと2050年には、ゴミが海の生物の総量を上回ってしまうのだとか。衝撃的な未来に、生徒さんたちは驚きの表情を浮かべていました。「荒れる海・荒れる山では動物や植物は生きられません。それが意味することは、地球上で人間が生きていけなくなることです。」と吉田さんは、私たちの生活によって起きている地球の危機を教えてくれました。


 



  • 今の世界をダメにした「だけ」とは?


今の状況をつくってしまったのは「自分だけ・お金だけ・今だけ」という発想で、その時だけの利益のために、さまざまなものを犠牲にしたからです。これからは「みんなのため・地球のため・子孫のため」と、将来の「ため」になることを考え、みんなで行動していくことが求められます。それこそが、SDGs目標達成のために目指すべき姿にもなっているのです。


 



  • 長野はSDGs未来都市


長野県はSDGs目標達成に向けて、優れた取り組みを提案するSDGs未来都市の一つです。「ゴミの排出量が6年連続日本一少ないことは誇るべきことの1つです」と吉田さんは言います。「買い物で買いすぎない」「料理を作りすぎない」「お店で頼みすぎない」という3つのゴミ減や地産地消を意識した「エシカル消費」に積極的に取り組むことが、食品ロス防止につながっていきます。


 



  • 地域で活動する若者の取り組み


若者が地域のためにできることとして、学生に市民活動や地域貢献活動への取り組みの参加機会を提供する『ながの地域まるごとキャンパス』というプログラムを紹介しました。例えば、「地区の全住民に暮らしに関するアンケートをとり冊子にする」「台風19号の影響を受けた古民家から、夏休みの間に砂を全て運び出した」「毎週、不要になった物を預かり必要な人につなげていく」といった活動。他にも、長野の高校生と大学生を主体とした団体「ユースリーチ」が共催し、町のゴミ拾いをゲーム感覚で楽しめるイベントとして企画・開催した「清走中」など、長野には自分の地域を良くするために自発的に動く若者がたくさんいます。こうした取り組みを経験した学生は、「学校以外の人と交流を持てることが新鮮で楽しかった!」と口を揃えます。吉田さんは「もっと何かしたい!と活動に参加していき自分の世界を広げること、『清走中』のように『楽しい!』などのポジティブな感情から行動できることを考えてほしい」と生徒さんたちに伝えました。


 



  • SDGs世代の考え方


ここ数年、関心の高まりから学校でも積極的に授業に取り入れられているSDGs。「生徒さんたちのような、SDGsを学ぶ世代が取り組む問題の正解は一つではありません」と吉田さんは言います。例えば、「すべての子どもに○○を」という問いに対し、空欄に入る自分なりの言葉を考え、さらに「なぜそう思ったか」をプレゼンし、周りから同意が得られれば、それは正解です。つまり、SDGsへの考え方は十人十色、可能性が無限にあるということです。これからは誰かが用意した答えではなく、自分自身が言葉を考え導き出していくことが大切になり、そのためには「知ること」が重要です。他者の考え、違いを互いに認め合う「多様性」、いろいろな人と共に行動する「協働」、自然との「共生」をキーワードに、知らなかったことを「知り、考え、選び、行動し、発信すること」がSDGs目標達成につながります。


「みんなでできること・楽しいことを考え、世の中の『当たり前』を自分自身の選択と行動で変えていってほしい!」と講演を締めくくった吉田さんの想いは、終始、真剣に講演を聞いていた生徒さんたちの心に、強く響いたのではないでしょうか。