NAGANO SDGs PROJECT主催

実施報告


団体名: ラマ色コラボ

開催概要

7月11日(火) 小諸市立美南ガ丘小学校で出前授業【未来と向き合うSDGs】

掲載日:2024年05月05日

講師:ラマ色コラボ 北原照美さん


受講者:小諸市立美南ガ丘小学校 4年3組23名


 


4年3組の皆さんは、この授業の前に既に、興味のあるSDGsのいくつかのゴールを選んで、どのような内容なのか調べていました。


そこで、今回は、「世界がもし100人の村だったら」のワークを通して、より具体的に地球温暖化・教育(識字率)・児童労働・世界の富という側面から自分達ができることを一緒に考えてみました。


 


まず、SDGsはどうして作られたのか、どういうゴールを目指しているのか、一緒に復習をしました。


 


そしていよいよ、「世界がもし100人の村だったら~4年3組バージョン~」のスタートです。


まず、児童の皆さん一人ひとりが「役割カード」を引きました。そこには性別や年齢、居住地や母国語などの設定が書かれています。ここから実際に身体を動かしながら設定に沿って、ワークに取り組み、現在の世界の様子について、理解を深めていきます。


 


まず、大陸単位で分かれて、5つの大陸グループができました。一番人数が多かったのはアジアです。中国やインドなど人口が多い国が集まっている大陸です。


そして、北原さんはこの日の参加者数である23枚の「二酸化炭素の排出量」を表す紙を大陸毎に配りました。アジアの人たちには13.1枚、北アメリカには4.1枚、ヨーロッパには3.7枚、アフリカには0.9枚、南アメリカには0.9枚、オセアニアには0.2枚でした。二酸化炭素の排出量の量は、人口には比例せず、先進国が相当量を排出していて、この二酸化炭素が地球温暖化の一因となっています。


 


最高海抜が2m強であるモルディブは、地球温暖化が進むと国土の半分以上が水没してしまい、モルディブの人たちが避難をしなくてはいけないという話に児童の皆さんは、驚いた表情を見せました。北原さんは自分達の生活とのつながりを説明し、多くの児童の皆さんは、大きく頷いていました。


 


次は、識字率についてのワークに取り組みます。スライドに表示されたのはネパール語で「座ってください」を意味する文字です。手元のカードを見て意味を理解できた人は座り、3人は立ったままでした。この3人は、23人という世界の中で「大人で文字を読むことができない人」の割合を意味しています。つまり世界の成人の非識字率は14%。


 


「文字が読めない」ということが、何を引き起こすのか、この3人に寸劇をしてもらいました。


主人公はネパールに暮らす3人家族。父と母は学校に行くことができなかったため、文字を読むことができません。低賃金で働き、生活するものやっとです。ある日、子どもが熱を出してしまいました。北原さんの児童の皆さんへの「どうしたらいい?」の問いかけに、「冷たいもので冷やしてあげる」と答えがあがったのですが、「お金が無いから、冷蔵庫がありません」という北原さんの一言に、児童の皆さんは、「あ~」という表情。


 


父親は、近所の人たちに手伝ってもらい何とかお金をかき集めて、夫婦で薬局に薬を買いに行くと3つのビンが売られていました。3つのビンの中身は、薬・飲料水・農薬(毒)。これらのビンにはネパール語で中身が書かれていますが、3人とも文字が読むことができません。父親役の児童は「治してあげたい!」、母親役の児童は「薬をあげたい!」、そして子ども役の児童は「薬が欲しい」と。そこで、両親役の2人は、この3つの中から1つを選びましたが、それは「飲料水」でした。もう一度、残りの2つのビンから1つ選びましたが、それは「農薬(毒)」でした。両親役の2人は、「残念、悔しい」と感想を述べましま。*実際の中身は「薬:砂糖水」「農薬:塩水」


 


「文字が読めないことによって、他にどんな不便なことがある?」という北原さんの問いかけに、児童の皆さんから「薬をいくつ飲んでいいのか分からない」「買い物の取り引きなどができない」などの意見があがりました。


 


そして、次は「なんで文字が読めない人がいるのか」ということを知るために、ガーナのカカオ農園で働きつづけている11歳と6歳の兄弟の動画を見ました。兄弟は、学校に通えず、カカオが何になるかも知らず、働けなくなった親のために、生きるために一生懸命に働いていました。兄は、自分はいいから弟に学校に通わせてあげたいと願い、弟は、学校に行って勉強をして、卒業したら、沢山のお金を稼いで、お母さんに仕送りをして、家族みんなを養ってあげたいと願っていました。


 


動画を見た後、北原さんは、これはこの国だけの問題ではなく、全てが世界につながっているということを説明しました。学校に通えず働いている子ども達が収穫したカカオは、チョコレートになり、そのチョコレートは先進国で売られています。そして、なぜ子ども達が働くことになるのか、それは、子ども達に支払う賃金が安いからです。ではなぜ安いのかというと、チョコレートを買う人が安いものを買いたいと思っていることが大きく影響するからです。つまり「安いチョコレート」の売り上げは少ししか農園にいかないのです。その結果、子ども達の賃金が安くなってしまいます。北原さんは、買う人が、買うものの背景を知ることが大切と話をしました。


 


そして、役割カードに書かれていた記号にそって、4~5人ずつの5つのグループに分かれ、それぞれのグループにチョコレートを配りました。準備していたのはクラス人数の29個。箱を開けた児童の皆さんから「これしかないの?」「もっと欲しい!」「こんなにある!」という声があがりました。配られたチョコレートの数は、□チームは2個、〇チームは0.1個、△チームは25.5個、♡チームは0.4個、☆チームは0.8個でした。ちなみに△チームは、国として日本が入っているチームです。チョコレートが少ないチームからは、「辛い」「分けて欲しい」「もっと少ないところがあるからまし」「食べられない人がいるのがかわいそう」という声があがり、一番沢山配られた△チームからは「食べきれないから捨ててしまう」「分けてあげたい」「1人1個で十分」という声があがりました。


 


「全体に配られた総数は、ちゃんと1人1個ずつ配られる数なのに、国の状況によって平等に配られないということは、実際に世界で起きていることなんです。そして、世の中には分けてあげない人もいて、そういう状況が、戦争や盗みを引き起こしているんです。最初の役割カードは自分で選んだのではなく、たまたま引いたあるいはもらったもので、その結果こんなにもそれぞれの状況が違いますよね。生まれた国も偶然なんです」と、北原さん。


 


「この村はこのままでいいでしょうか?」という問いかけに、「あげられる人があげ続けたら、もらうことが当たり前になってしまう」という意見があがり、じゃあ、「どうしよう?」。


北原さんは、気になったことを「どうしよう?」と思うことが大切、そして考え続けることが大切なんです。「世界ってどうなっているのか?」「自分には何ができるか」を調べて、考え続けてください。そして、自分が行動しないと世界は変わらないというメッセージを児童の皆さんに伝えました。


 


地球温暖化・教育(識字率)・児童労働・世界の富について体感し、考えた授業の最後にそれぞれがふりかえりシートに記入し、何人かに発表をしてもらいました。


 


<改善したいこと>


・木を植えたい。


なぜそう考えるのか? ⇒ 二酸化炭素を減らしたい。


・食べられない人に分けてあげたい。


なぜそう考えるのか? ⇒ 自分達が食べられるのに、食べられない人がいることが理不尽。


・戦争をやめさせたい


なぜそう考えるのか? ⇒ 物とか食べ物を分けてあげたら、戦争が起こらないと思うから。


 


<さらに力を入れたいと思ったこと>


・余ったものを他の国の人へ分けてあげたい。


・給食を残さずに食べたい。


・紙を無駄にしない。


 


最後に、北原さんは、「大人たちに思ったこと、考えたことを言ってください!」と児童の皆さんに伝えて、授業が終わりました。児童の皆さんは、きっと、今、自分達が生きている社会が世界につながっており、一人ひとりの行動が、世界に影響を与えるということに気づいてくれたと思います。


 


<参加された児童の皆さんの感想をご紹介します>


・話しを聞いて自分が思っていたことよりも、世界では子ども達が一生懸命働いていて、そういう子ども達が働かなくて、学校に行かせてあげたいと思った。


・こんなにも食べ物が少ない国があることを知りました。皆、食べ物の好き嫌いなく食べられるようにした方がいいと思うし、食べ物を食べられなくて死んでしまっている人をなるべく減らしたいと思いました。


・自分たちで調べて、「こんなことをやりましょう」で終わりじゃなくて、食べ物がない国を探したり、もっとそれを深めて、実行したい。自分たちばっかりが良ければいいんじゃなくて、今、何もできていない人たちに協力したり、分けてあげたい。世界が皆、平等になるようにしたい。


・お金がない国には子ども達はカカオを採ることが当たり前と聞いてびっくりした。自分ばかり良くしないで、他の国にも優しくしたら、もっと良くなると思う。


・戦争で食べ物が食べれない人に少しでも分けたい。なぜかというと自分がよくても、食べれない人からすると理不尽だから。


・地球温暖化は、僕は知らなかったけど、話を聞いて世界が、今、どうなっているのかが分かった。僕でも何かできることはないかなぁと思って、自分なりに頑張りたい。


・一人がいっぱいじゃなくて、皆に分けられる世界にしたい。


・世界では、こんなことが起きていると知って、悲しくなりました。いろいろなものを分け合い、お金の無い国がない世界にしたい!世界の人皆で協力したい!何より人を助けたい!


・僕は、このお話を聞いて、世界では文字が読めない人や食べ物が十分にない人がいることを知って、世界の様々な人が解決策を見出して、それを実行していければ良いなと思いました。


・世界はとても大変な状況だと思った。でも世界はこんなすてきな事をしているよ!と教えてもらって、いつか私も世界中、旅をしたいなと思いました。


・生き物が安全に「森林」に住めるようになるべく木を倒さずにしていると、より良い生活をすると動物が住みやすくなるので、改善したいです!