NAGANO SDGs PROJECT主催

実施報告

ラマ色コラボ協力出前授業

団体名: ラマ色コラボ

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開催概要

10月15日(金)飯田市立竜東中で出前授業「SDGsはジブンゴト」

掲載日:2024年04月28日

「ラマ色コラボ」さんによる出前授業が、長野県の南端に近い飯田市立竜東中学校で開催されました。講師は元青年海外協力隊でモルディブ、その後、ガーナ、ネパールなどで活躍した経験を持つ北原さんと、図書館司書歴をもつアシスタントの丸山さん。2学年の生徒22名に先生2名を加えた計24名が、同校の体育館で「SDGsはジブンゴト」の授業を受けました。はじめに「世界がもしも100人の村だったら」というプログラムを24人で体験。まずは、1人1枚カードを引きます。カードに記載された内容が、このプログラムにおける自分の運命の情報となります。体育館の床にはテープでざっくり世界地図が描かれ、大陸の名前が書かれたプレートが置いてあります。カードで示された自分が、世界のどの地域に住んでいるか?講師の掛け声で、みんなで移動してみました。

それぞれのエリアの人数には差があります。1人しかいない地域もあれば、13人もの生徒が集まった地域も。「世界の人口75億人の60%がアジアに住んでいます」と講師から発表されて、アジアに集まったみんなが納得。さらにA4の用紙(50枚)が配られたので床に広げてみましたが、これも地域別に枚数が違います。その答えは、CO2の排出量。南米は3人で2枚、北米は1人なのに9枚、アジアは13人で28.5枚となりました。次は、世界の「識字率」の体験。全員その場に立つと、スクリーンにヒンディ文字のような見慣れない言葉が映し出されました。これを見て「確信を持って動ける人だけ動いてください!」講師の呼びかけに、ほとんどの人が腰を下ろしました。「なぜ座ったんですか?」と尋ねると、「座ってくださいって書いてあるから」との答えが。立っているのは3人だけ。意味が分からず立っている3人以外のカードには、映し出された言葉の意味が書いてあったのです。世界には文字の読めない人が14%いる、という規模感の体験でした。さて、文字が読めないとどんなことが起こるか。今度は立っていた3人が前に出て「ネパールの仲良し家族」という設定で話が進みます。両親は学校を出ておらず、日雇いで一家3人が暮らしていました。ある日、子どもが風邪をひいてしまい、両親は15キロ離れた町まで薬を買いに行きました。3種類あるボトルには何か文字が書いてあります。1本は「水」、1本は「薬」(中身は砂糖水)、もう1本は「農薬」(中身は塩水)とあるようですが、2人は読むことができません。不安の中、1本選んで家に持ち帰り、子ども役の生徒に飲ませました。飲んでみた子どもは、「しょっぱい!」実は、「農薬」だったのです。文字が読めないばかりに、誤った行動につながる危険性があるという体験でした。

例えば紛争の絶えないカンボジアでは、学校に行けずに文字の読めない子どもが「地雷注意」の看板を読むことができなくて、命を落とすケースが起きているそう。「学べない」ことはどこにでも影響するという実際の話を、みんな神妙な面持ちで聞いていました。次に、これもカードに書いてある「マーク」ごとに、5つのグループに分かれました。そこに講師が、準備したチョコレートを配分します。合計25個あるので1人1個は行きわたるはず。各代表者が取りに来て自分のグループに持ち帰り、箱を開けてみると…チョコの数に大きな差がありました!5人で0.7個しかないところもあれば、4人で22個もあるところも。「バランスが悪い」「人数が同じなのに数が違ってビックリ」「何とも言えない気持ち」…。さまざまな感想が上がりました。5つに分かれたのはGDP(国民総生産)別のグループだったのです。

「自分たちのことだけを考えたら別に思わないけれど、世界全体を見ると『少ない人には分けてあげよう』という気持ちになるよね?」講師の言葉に促され、チョコをたくさん持っていたグループの生徒は他のグループに配りに行き、みんなで仲良くチョコを食べました。ここまでの結果について、講師が尋ねます。「みんな、努力して豊かになったのかな?」「なまけていて貧しくなってしまったの?」

生徒たちは首を横に振ります。すべては、最初にカードを引いた瞬間に決まっていたこと。「たまたま」引いたカードによって、「たまたま」生まれたところによって、こんなにも差がある、不平等な世の中なのだ、という体験だったのです。休み時間を挟んで、今度は席に着いてスライドを見ました。私たちの大好きなスナック菓子が、原料のパーム油をつくるために森を伐採し、地球温暖化・生態系の破壊につながっているかもしれないということ、私たちの大好きなチョコレートが、原料となるカカオ豆栽培のために貧困地域の児童労働問題につながっているかもしれないということ。「かわいそう」と思う世界の事象をさかのぼっていくと、実は私たちがその要因を作っているのだ、ということを学びました。ここまでのところで「気になったこと」「改善したいこと」を3つずつ書き出して、発表し合いました。「むやみに物を買わない」「みんなが学校に行けるようにしたい」「寄付をしたい」など、いろいろな意見が出ました。最後に、SDGsについて学ぶビデオを視聴しました。家にいるとき、食事のとき、買い物のとき、私たちは気づかないうちに「未来を選択」しています。すべての人の心の中にゴールがあり、1人1人が行動をとれば正しい方向へ動いていくはずです。

2030年、SDGs達成の期限を迎えたときに、22~23歳となっている生徒たち。8年後、どんな世界で暮らしたいか?これも一人ひとり書き出しました。そして、みんなの手元に配られた「世界がもし100人の村だったら」を丸山さんが朗読。今日体験したことは本当に世界で起こっていることなのだと、噛みしめながら静かに聞き入りました。終わりに、講師陣へのお礼の言葉として「まずは新聞などで『いま世界で何が起きているのか』知ることが大事だと思いました」と締めくくった生徒代表。素直で豊かな感受性を持った竜東中のみなさんの心に、きっと今日の体験は「ジブンゴト」として深く刻まれたことでしょう。これからのそれぞれの行動が楽しみです。