NAGANO SDGs PROJECT主催
実施報告
団体名: 長野工業高等専門学校
掲載日:2024年12月10日
講師:長野工業高等専門学校 轟 直希先生
テーマ:「水害から命を守る方法を学ぼう」
対象:川中島小学校4年3組 27人
場所:長野市立川中島小学校
日時:2023年10月11日(木)
【いざというときパニックにならないために】
「災害時の人間の行動」を研究するジョンリーチ博士によると、いざ災害が起こった際に、落ち着いて行動できる人の割合は10%、我を失ってしまう人は15%、ショックで何もできない人が75%だそうです。多くの人がパニックになってしまうようですが、そうならないためにはどうしたらいいでしょうか?
地震や噴火といった災害は避けるのが難しいけれど、台風による水害は事前に備えることができます、と轟先生。防災行動に必要な時間を整理して、あらかじめ「タイムライン」を考えておくことがポイントだそうです。たとえば、警戒レベル3というのは、「河川敷が水没する」くらいの状況。このとき、何をしますか?警戒レベル4は、「川の水があふれそうな」状況。さらに警戒レベル5になると、「緊急安全確保」で完全に避難が必要です。そのとき、具体的にどんな行動をするか?家族と話し合い、タイムラインを作っておいてほしいと先生は強調します。
【災害をイメージしてみよう】
次にスライドで、長野市の「ハザードマップ」を見せてもらいました。川中島小学校の近くで堤防が決壊したら、黄色く塗られた地域では90分で大人の腰くらいの高さ、子どもの頭くらいまで水につかってしまいます。紫色の線で囲われた地域は100年に1回くらいの確率で、高さ3メートル、1階の天井くらいまでつかるそうです。人生100年と言うけれど、みんなは何歳まで生きるのかな?・・・先生の投げかけた質問に、教室中がザワつきました。「ヤバいヤバい!」「そのへん俺んち!」「おーまいがー!」
水の力は強く、押すタイプのドアは開かなくなるそうです。水没したら閉じ込められないよう、クルマにはガラスを割る道具を積んでおいた方がいいよ。そんな先生のアドバイスをみんな神妙に受け止めていました。
【防災すごろくを体験しよう!】
今日のメインイベント!5~6人が1グループとなり、轟先生オリジナルのすごろくシートを囲みます。1人1個選ばせてもらったかわいい消しゴムをスタート地点に置いて、ゲーム開始!今は大雨が降り続いていて、テレビではこの地域に数10年に一度の大雨が降るかもと言っている状況。今持っている知識を確認しながら、無事に避難することがゴールです。
順番にサイコロを振り、止まったマスの指示を確認しつつ「防災ノート」の中から該当する項目について学びます。1グループに轟先生のゼミ生さんが1人ついて、ゲームをリードしてくれました。
「数10年に一度の雨が降りそう。どのくらいの雨になるのかな?」というマスでは、PCや携帯電話を使って調べる技術を身につけようということで、災害情報を得られるWEBサイトやアプリを紹介してもらいました。
「自分の家の近くの避難所はどこだろう?」というマスでは、ハザードマップの見方を教えてもらい、自分が避難する場所を確認しました。
「避難先に向かうのに、何が必要か考えて、持ち物カードをバッグシートに入れよう!」ここではバッグシートの大きさに限界があるので、持って行くものを厳選しなければなりません。みんな思い思いに何を入れたでしょうか。
途中にはアクシデントが発生するマスがあり、そのたびにアクシデントカードを引きます。「大雨で服が濡れてしまった。着替えはあるかな?」→持ち物カードに着替えがなければ一回休み。
「避難所は人が多いから感染予防をしよう。どうしたらいい?」 →持ち物カードにマスクがなければ1回休み。
「お皿を使いたいけど水が出ないので洗えない。どうしよう?」 →ラップフィルムを敷いておけばお皿を汚さないので洗わなくても大丈夫。ほかにもラップフィルムは便利に使えるよ。そんな知識も教えてもらいました。
【やっぱり「事前準備」が大事!】
だいたいみんなゴールをしたところで先生が振り返りました。「一番時間がかかったのは『持ち物の選択』だったね。たぶん当日はパニックになるので、あらかじめ準備しておくことが必要です。もしも災害が起こった時にちゃんと行動できる人は、100人のうち10人とのことでしたが、みんなは今日勉強したから、逃げ遅れずにしっかり避難ができるね。」
今日の授業では、危険を知ること、そして準備することで避けられる災害があることを学びました。自分のコマとして一緒に避難した消しゴムをお土産にいただき、みんなやりきった顔で教室をあとにしました。今日のすごろくで得た経験と知識は、お家に帰って家族と共有することで、いつか「いざ」というときに役に立つことでしょう。もちろん、役に立つような状況が来ないのが理想ですが。
轟先生とお手伝いしてくれた学生の皆さん、ありがとうございました。