10/8開催 出前授業

実施報告

長野発SDGs実現のためのアクションを起こしているNPO紹介

団体名: 特定非営利活動法人長野県NPOセンター

開催概要

10月8日(木)下諏訪向陽高校で出前授業開催「長野発 SDGs実現のためのアクションを起こしているNPO紹介」

掲載日:2020年10月08日

【第1部 SDGsと長野県NPOセンターの紹介】


今日の生徒は、諏訪向陽高校の1年生170人。はじめに、長野県NPOセンターの小林達矢さんがSDGsの概要を解説。冒頭で「SDGsを知ってる人?」との投げかけに、手を挙げた生徒は半分ほどでした。まずはクイズでウォーミングアップです。


■「極度の貧困」は過去20年でどうなった? A:約2倍に B:変わらず C:半減 ⇒ 答え:C


■気候変動で年平均4.7%気温が上昇すると、長野県はどうなる? A:りんごがつくりにくくなる B:猛暑日が30日以上増える C:ライチョウの生息地が消滅する ⇒ 答え:全部!


■1人当たりのごみの排出量が最も少ない県は? A:京都 B:長野 C:鳥取 ⇒ 答え:B!


…長野はごみが少ないと言っても、日本全体で見れば食品ロス(食料廃棄量)は年間643万トン。一方、食糧不足で支援が必要な量は、世界で320万トンだそうです。


世界に存在する問題は一つでなく複雑に絡み合っているため、さまざまな課題を同時に解決する必要があります。たとえば「フードバンク信州」は、たくさんの方から提供してもらった食品を、生活に困窮し支援を必要としている人々に届けるNPO団体。SDGsの視点と理解が、課題を発見し解決するきっかけになったそうで、NPOと、企業と、行政が協力して実現した、とても良い例だと小林さんは紹介しました。


また、長野県NPOセンターは「ユースリーチ」という活動をしています。高校生や大学生が「長野をもっとよくしたい」というコンセプトで集まり、仲間づくりや社会の課題を解決する活動に積極的に取り組んでいる様子を紹介しました。


 


【第2部 取り組み事例】


後半、具体的取り組み事例としてお話してくれたのは、諏訪市出身で「スワコカヤック」代表の井川竜太さん。王滝村に地域おこし協力隊として赴任した数年前、カヤックの面白さに出合い、今では地元である諏訪湖でカヤックを活かそうと活動しています。


「諏訪湖ってどんなイメージ?」「行ったことある?」井川さんの問いに、生徒からは「汚い」「行ったことない」という返答が。地元では多くの人がそう思っているようですが、実は諏訪湖を「汚い」と言うのは地元の人だけ。外から来た人は「思ったよりきれい」と言う人が多いそうです。諏訪湖が子や孫の代まで嫌われ続けるのは嫌だなと感じたところから、発想を変え、きれいにして使えばいいじゃないか!と井川さんは思い立ったそうです。


ふだん陸から見ている景色も、水上からだと違って見えます。諏訪実業高校の生徒がカヤック体験をした折、自分の住んでいるところなのに「外国か?と思った」という感想があったそうです。


湖畔はゴミを拾うボランティアの人も多く、まあまあきれい。でも水上は、誰も拾わないので水草とゴミがたくさんあるそうです。これを、カヤックに乗って除去します。しかし1人ではやりきれないので井川さんは「トレジャーハントカヤック」と銘打って、イベントにしました。以来、毎年延べ500人の体験者やリピーターが訪れ、少しずつ諏訪湖に対する理解が進んできたようです。カヤック体験で上陸する湖上の孤島「初島」も、一般には上陸が禁止されていますが、ガイドがいればOKと地元観光協会からも一目置かれる存在になっています。


世界の課題は、ルービックキューブのように多面的で、ひとつの面が揃っても、他の面が解決できない。多面的に考える必要があるんですーと井川さんは複合的な課題解決の捉え方をわかりやすく説明してくれました。


 


【第3部 個人ワーク】


最後に、手元に配られたA3の紙を4分割し、10年後住みたいまちの理想と、それを実現するための課題、そして解決する方法を考え、記入。書いたものを数人に発表してもらいました。


ある男子生徒は、理想/カヤックが移動手段のまち 課題/町にあるカヤックが底をついている 解決法/諏訪湖を大きくする―と壮大な発表をして笑いを誘っていましたが、井川さんはまっすぐ向き合い、アドバイスをくれました。「実際に住んでいる場所の対岸に勤務先がある人は、諏訪湖を渡れたら早いのに、と思ってる人もいるんです。川を使った移動手段も面白いよね」


そして最後に小林さんから、課題の解決方法について2つの考え方を教わりました。


1)現状の問題を延長線上で解決しようとすると、到達点は高くない(=フォーキャスティング)。


2)まずは目指したいところを掲げ、ビジョンを立てる。その理想の姿にするためにはどうすればいいか考える(=バックキャスティング)。


これから未来を担ってゆく170人の若者にとって、世界の課題を解決していくヒントとなりますように。






 


【アンケートより抜粋】


・普段、身近にあって、何も興味がなかったけど、諏訪湖は観光資源。


・自分の知らないことを知れたのでよかった。地元に貢献できるようになりたい。


・SDGsについて、日本の今の状況だったり、長野県の状況だったりなどを把握できた。諏訪湖をもっときれいにしたい。


・自分の地域を愛することが大切だと思った。


・一人ひとりのちょっとした行動で世界の大きな課題が改善されていることがわかった。


・一人ひとりが努力してやることによって、自分のまちが良くなることがあると分かったので、自分にもできることがあったらやろうと思った。


・自分が岡谷に何を求めているのかが知れて、自分のことを少し知れた。


・自分なりにSDGsにかかわれるような活動をしていきたいと思いました。


・自分が住んでいるまちの課題について考える機会がなく、考えたことがなかったけど、今のまちに目をむけてちいさな課題からでも解決していくことが大切だし、必要なんだと思った。


・SDGs17の目標の中で1つ大事なものを決めようとしたけど、全部大事だなと思った。


・SDGsと聞くと世界規模で私にできることはあまりないのかなと思っていたけど、今日の授業を受けて、自分の身近にも、SDGsと関連してできることが沢山あるんだなと思いました。


・理想のまちを考え、課題を解決するために自らできることを考えだすと、いろんなことが課題に出てきて、解決するための自らできることもたくさん出てきたので、行動できるようにしたいです。


・沢山教わることが多く、新たに考えさせられることも多かったです。”SDGs”について、とても詳しく知れることができたので、本当に良かったと思いました。日本に出されている課題というものは、考えているよりもかない難しく、誰かと協力しないと、絶対に解決できないしな、と感じました。だから、私もできることから取り組んでいきたい。


・自分の1つの行動で、未来を変えたりすることが出来るのかなった、ワクワクした。

自分が行動し始めるのも大切だけど、誰かと協力するというのも大切だと思った。

自分だけではできない事でも周りの人と協力する事でできる事もあって、これを、国や世界単位で考えた時、きっとできる事ってかなり増えるだろうなって思って、それがパートナーシップだったり、世界で協力する気候変動への対策になったりするんだなと思いました。パートナーシップで目標達成がかなり主要なのかなと思いました。


・未来の目指したい姿を考えられた。

目標を達成するには自分の中でなにができるかと考えて、それをひとつずつやることが大切だと思ったので、これからの生活に活かしていきたいです。


・”自分から”を大切にしていくことが大事ということに気づけた。


・どんな小さなことでも、コツコツ積み重ねていけば、近い未来につながるということを学んだ。


・達成していくためには、自分自身から始められる小さな事も大切だと思った。自分の住む町の事をもっと大切にしたい。