NAGANO SDGs PROJECT主催
実施報告
団体名: 長野県NPOセンター(長野発SDGs実現のためのアクションを起こしているNPO紹介)
掲載日:2024年10月06日
1月19日(水) 小諸商業高等学校で行われた出前授業内容を、実施報告とアンケートでご紹介します。
実施報告
長野発SDGs実現のためのアクションを起こしているNPO紹介
団体名
特定非営利活動法人長野県NPOセンター
開催概要
2022年1月19日(水)、小諸商業高校で出前授業開催「長野発SDGs実現のためのアクションを起こしているNPO紹介」
【第1部】
SDGsと長野県NPOセンターの紹介
>>>SDGsってなんだろう?
本日は、小諸商業高等学校の3年生37人がオンラインで出前授業を受講しました。はじめに、長野県NPOセンターの小林達矢さんよりSDGsの概要解説。まずは恒例のウオーミングアップクイズからです。
■世界の人口で極度の貧困にある人の割合は、過去20年でどう変わった?
■世界の平均寿命は?
■1日1人当たりごみの排出量がもっとも少ない都道府県は?
■長野県の平均気温が上昇すると予想されるのは?
■災害リスクが最も高い都市は?
第2部で講演予定のまるひろさんも、リモートで一緒にクイズに参加してくれました。3択問題でしたが、みなさん意外と正解が出ませんでした。
SDGsを考えるには、「環境の保護」「公平な社会」「経済的な発展」3つのバランスが重要です。先進国と途上国、世界中が一緒に目指す共通の目標がSDGs。日本は現在世界の中では18位で、相対的貧困やジェンダー、エネルギー、環境問題への取り組みに課題が多くあります。目標を達成させるには、自治体、企業、そして私たち市民すべてが実行主体となる必要があります。まずは自分の関心や興味のある問題に目を向け、「やれることから取り組む」のがおすすめ、と小林さんは教えてくれました。
>>>ユースリーチとは?
長野の高校生・大学生が主体となり「長野を少しずつもっと良くする」ことを目標に、50人近くの若者(対象:25歳未満)が活動している団体。
活動の例としては、2019年に東日本台風(台風19号)の被災地を支援しようと、信州高大連携復興支援チームを結成。2020年にはこれから発表してもらう「清走中」というイベントを実施。ゴミ拾いから災害支援、子ども食堂、学習支援といった各種のボランティア活動が、横のつながりでさらなるコラボ活動へと広がっています。あれこれ広報しているので、興味のある人は調べてみてください。
【第2部】
まるひろが考えるSDGs
>>>まるひろって何者?
次に登場してくれたのは、長野県上田市出身で、東京学芸大学に在学中の丸山紘人さん(19歳)。今日の受講者とほぼ同世代。東京学芸大学で教育を学ぶ傍ら、ベンチャー企業で「清走中」というゴミ拾いイベントのSNS(フォロワー2.8万人)を運営しています。セブンイレブンでアルバイトをしているので、髪をユニフォームと同じ色にしてみたとのことで、鮮やかな緑色のヘアスタイルが画面でとても映えていました。ほかにも学内でお笑い芸人、バンド、デザイン、いろんなことをやっているそうです。
>>>「教育」に興味を持った背景
最も興味があるのは「教育」。高校時代は、LGBTQとか上田市のまちづくりに関わる活動もしていたんだとか。そもそも教育について興味を持ったのは中学校時代、学校の先生がとても嫌いだったんだそうです。でも、石川から長野県に転校してきてみたら、長野の先生はいい先生でビックリ!この違いは何だろう??と行き着いた興味が「教育」でした。
そこで、「職員会議」でなく、先生も生徒も保護者も学校に関わる人がみんなで参加する「学校会議」を実施しようと思い立ち、計画したものの、コロナ禍で休校になってしまい実現できなかったそうです。
>>>なぜ「清走中」に行きついたのか?
まるひろさんが「清走中」に関わったのは、当時高校に講演に来たユースリーチの代表の方に、たくさん話しかけたことがきっかけ。そのとき長野市で開催するイベントに誘われ、参加したのが「清走中」でした。「清走中」はゲーム感覚のゴミ拾いイベントで、人気テレビ番組のように街をゲームエリアに見立て、チームを組んで、発令されたミッションを達成しながらゴミ拾いをするというもの。ゴミ拾いをエンタメに、21世紀の遊びにしたい。奉仕活動でなく「楽しさ」でSDGsを達成しようと、長野から全国へ展開しています。今では株式会社GAB(東京)の事業となり、まるひろさんを中心に運営しているそうです。
>>>僕なりに考えるSDGs
SDGsについて、まるひろさんは持論を持っています。「僕なりに考えると、SDGsはゴールだけど、答えではない。『やらないといけない』という正しさを押し付けてくるのは、ゴミ拾いと似ている。どこかでやらないといけないことはわかっているけれど、やらない、続かない。SDGsのいまの課題は、知ってもらうことではなく、『どうやるか』『どう続けられるか』だと思う」
まるひろさんの所属する株式会社GABのメンバーは、最年長でも21歳。取引先の40代の大人と話をする中で、SDGsの話題の時は対等に話せる瞬間があるそうです。みんな正解がなくて手探りだから、若い自分たちの意見も通りやすいのでは、と分析します。
>>>最後に
最後に、受講者の生徒さんに向けてのメッセージ。
「やりたいことが、直接課題解決につながることもある。『やらされてる』感のなかでは誰も得をしない。好きなこと、興味があることから始めてみると続くかもしれない。考え方をアップデートしていく人の方が、実際に課題解決できている。正解はないし、間違ったこともないので、まずやってみることが大事だと思います」
そして、「高校3年から、進学なり就職なり次に進むまでの間には時間があるので、いっぱい考えて、やりたいと思ったことはぜひアクションしてみてほしい」と、具体的なアドバイスで結びました。
【第3部】
質疑応答
まるひろさんの話を聞いて、2名の生徒さんが質問をしてくれました。
Q1 高校時代いろいろ考える時間があると聞いたが、具体的に?
→ 僕は自分のやりたいことしか考えない。「誰かのため」とか考えると、結局誰のためにもならない。「自己中」に考えて、一回やってみる。
Q2 自分の興味から課題解決につながっていくということだが、高校時代の興味は?
→ 高校時代は、学校と家しかなかったので、属したコミュニティ(=学校)に興味を持った。
最後に、NPOセンターの小林さんも質問してくれました。
Q3 「楽しさ」ってどういうところから湧いてくるの?
→ 「楽しい」っていうことは、「これからもやりたい」と思ってること。部活は続けていけないから楽しくないと思う。やりたいことを追いかけていくと、後で「楽しい」ということに気づける。学校の探究活動も、続けてみたら楽しくなると思う。
「やりたいこと、楽しいと思うことを、まずやってみる。」そんな身近な行動から世界は変えられるかもしれません。年も近く、目線も近い先輩からのメッセージは、小諸商業高校の3年生にさまざまな角度から勇気を与えてくれたのではないでしょうか。今日の授業が、皆さんの未来に向けた行動の、小さなきっかけとなりますように。
アンケート
・とても大きな目標で取り組みづらいと思ってしまうけど、自分が興味を広げていけばいつか世界につなげられると感じた。
・自分のやりたいことや興味があることが、誰かの役に立ったりするのは魅力的だと感じました。誰ひとり残さない社会にするためには、世界中の一人ひとりの協力や行動が大切なのだと感じました。
・『自分なりのやり方』とあったので、とりあえずそこを頑張ってみたい。
・SDGsへの取り組みが多く行われていると感じていたが、日本だけでもまだまだ多くの課題があるので、自分の身近な地域から進めていくことも必要だと感じた。
・SDGsについて自分の知らないことがあったがいろいろなことを学ぶことができた。またどのような活動を行っているか正解はないと思うので、いろいろ考えてアクションしようと思った。
・「みなさんの好きな、みなさんなりのやり方が課題解決につながる」。この話が1番よかった。SDGs解決に向けて、大人と自分たち若者が対等に話し合うことができ、若者の考えが取り入れやすくなっている、という考えがいいと思った。自分も自分なりに考えることがいいのだと考えられた。