実施報告

WEB講座

「ミャンマー料理を通して、世界の人権・平和についてみんなで考えよう!」オンラインワークショップ開催!

団体名: NAGANO SDGs PROJECT

応募は締め切りました。ご応募、ありがとうございました!

 

日本は幸い80年弱戦争を(経験)していません。しかし、世界では今でもテロ事件や戦争が起きています。このことは本当に私たちに関係のないことでしょうか?
同じ地球に住んでいる仲間に起きていることです。すぐに解決することは難しいかもしれませんが、そういった理不尽なことで苦しんでいる人々の存在を知り、想い、考えるということはすぐにできるのではないでしょうか?まずは、ミャンマー料理体験を入り口に、ミャンマーだけでなく、世界の人権・平和について一緒に考えてみませんか?

小学校高学年のお子さんにもご理解いただける内容で進めますので、ぜひお子さん・お孫さん・生徒さんとご一緒にご参加ください。また、お子さんと一緒でなくても、子どもたちへ伝えたい大人の方・世界の状況に関心のある方など、広くご参加いただけます。

お料理が苦手な方でも作れる簡単な料理です。
料理をしない方、途中参加の方も大歓迎!

<形式>
オンラインワークショップ(料理含む)
<出演>
コーディネーター:佐藤友則さん(信州大学グローバル化推進センター教授)
料理講師・パネリスト:パンイピューさん(ミャンマー出身)
パネリスト:小古井遥香さん(信州大学人文学部3年)
<ワークショップ内容>
①ミャンマー料理教室「キャーゼンヒンガー」(60分)材料・下準備方法ははこちらから
②世界情勢・人権問題について(45分)
・ミャンマー、ウクライナ情勢などについて
・自分たちにできること
③質疑応答(15分)

ワークショップの前に必ず下準備をしておいてください!

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開催概要

開催期間:

2022年4月23日(土)11:00~1300

受講料:

参加費:無料 ※食材はご自身でご用意ください

定員:

20組 ※定員になり次第、締め切ります

「ミャンマー料理を通して、世界の人権・平和についてみんなで考えよう!」 オンラインワークショップを開催しました!

掲載日:2024年10月06日

ミャンマーは中国やインド、バングラデシュ、ラオス、タイと国境を接しており、100を超える民族が暮らす、東南アジアで2番目に大きい国。寺院や遺跡が数多くある神秘的な秘境バギャンがある魅力的な国です。しかし、2021年2月1日のクーデター勃発以来、実弾を用いた武力攻撃や拘束、交通拠点や放送局の破壊など、民衆が不当に暴力を受ける危機的な状況に置かれています。


今回のセミナーでは、ミャンマー出身のパンイピューさん(以下ピューさん)にミャンマーの伝統的な料理を教えていただき、実際に作って食べながら、ミャンマーをはじめ、世界中の苦しい状況に置かれている人々に想いを馳せ、世界の人権や平和について考えました。


セミナーはミャンマーの伝統料理「キャーゼンヒンガー」作りからスタート!キャーゼンヒンガーは、鶏肉や玉ねぎ、ビーフンを、ニンニク、ショウガ、ターメリック、パプリカパウダーといったスパイスで煮たお料理です。手際よく調理を進めるピューさんについていくべく、参加者の皆さん真剣そのもの。


当日はチャットでの質問も受け付けていたので、調理についてはもちろん、「ミャンマーの人はみんなパクチーが食べられるの?」「ピューさんの好きな日本料理は?」といった質問も。「ミャンマーにもパクチー苦手な人はいますよ」「好きな日本料理は肉じゃが。子どもは『お母さんのケーキが好き』と言ってくれるから、ついつい作ってしまいますね」と、和やかに会話をしながら調理が進みます。


具材にしっかり火が通ったら、器に盛りつけ、レモンやネギ、パクチー、ウズラのたまごをトッピング。キャーゼンヒンガーの完成です。ショウガやニンニクの食欲をそそる香りの中に、優しいスパイスの風味。レモンの酸味で後味はさっぱりとした、異国情緒を感じる一品でした。


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キャーゼンヒンガーをいただいたあとは、信州大学グローバル化推進センター教授・佐藤友則さんと「現在のミャンマーをはじめとした世界の情勢について」と「自分たちにできること」を考えます。


まずは佐藤教授からのクイズ。


「世界の3大料理といえば、中華料理、フランス料理、あと一つはなんでしょう?」


・中華料理


・フランス料理


・???


正解は、「トルコ料理」!


この回答に対して、日本では驚く人が多いそうですが、欧州や中東では当たり前の知識。場所によって、人々の状況や、関心を持っている物事は「全く違う」ということが分かりますね。


この「関心の違い」は、普段目にするニュースへ抱く「印象」や「感想」にも表れます。


例えば、まだまだ戦闘が続くウクライナ。日本から遠く、普段は入ってくる情報も少ない国ですが、数々の報道に対して「ショック」「悲しみ」「何かしたいという想い」など、非常に大きな関心が寄せられています。これは、「メディアのセンセーショナルな報道によるもの」と佐藤教授は言います。メディアがいかに大きな力を持っているかが分かります。


では、ここ最近のミャンマーのクーデターに対する報道は、どのような状況にあったでしょうか?


2021年2月1日にクーデターが勃発して以来、昨年の5月初旬まではメディアも熱心に報道を続けていたものの、それ以降の情報はわずかなもの。ミャンマーでは今でもウクライナと同じ「ひどいこと」が毎日のように続いています。にもかかわらず、ただニュースを見ているだけではなかなか表に出てきません。


ミャンマーに関心を持ち続けている人は、ウクライナのニュースで驚きません。「ああ、やっぱり」「ここでもそういうことが起こっているのか」と感じるのだと言います。


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ここでプレゼンターがバトンタッチ。信州大学人文学部3年・小古井遥香さんが「気になった出来事への関わり方」について、自身の経験からお話ししてくれました。


ミャンマーのクーデターをテレビで知り、状況を詳しく知りたいと考えた小古井さん。学内でミャンマー人の学生を探していたところ、佐藤教授に出会い、以前から興味のあった「広報」という形でミャンマーを救うための活動に携わることになったそうです。


現在はクラウドファンディングをはじめ(4月30日募集終了)、パンフレットづくりやSNSの運営、展示パネル製作のお手伝いなどを行っているとのこと。


小古井さんは、興味のあることに「自分から」関わるためには、以下のことが大切だと言います。


1)テレビやラジオ、新聞の情報を深堀りしてみる


2)先生や身近な大人に聞いてみる


3)自分の挑戦したい分野を知る


参加者の皆さんも「これから挑戦したいこと」を考えます。以下の3つの中から「自分がやってみたい」と思えることをピックアップし、理由と共にチャットに書き込みました。


1)「伝えたい考え」を持つこと


2)周りの人の「伝えたい思い」を伝えること


3)たくさん見て聞いて考えること


「物事をさらに良く知るためにも、たくさん情報を集めて、しっかりと考えたい」など、たくさんの意見が出ました。


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ここでプレゼンターは再び佐藤教授へ。SDGsについて、「大切な取り組みですが、本当はこの取り組みが無くても『自分自身で』関心を持つことが重要」と言います。


佐藤教授は中学生の頃、ある漫画を読んでから「水」の大切さについて強く考えるようになったのだそう。漫画の内容は「地球上から水が無くなり、生物が全滅する」というもの。世界がどんな状況であろうと、どんなに裕福な生活をしていようと、水がなくなれば一巻の終わり。生物は滅びてしまいます。


「水は大切」という「意識」を持てば、それは「行動」へとつながります。


・シャワーで流れる水は1分間に12L。シャワーを使うか?貯めたお湯を使うか?


・顔を洗う時、水を流しっぱなしにするか?洗面器に少し貯めた水を使って洗うか?


日本は蛇口からそのまま飲める水が出てきます。これは世界規模でいうと本当に贅沢なこと。「もしここがアフリカなら、シャワーの水でどれだけ多くの子供を救うことができるのか?」まずはそんな意識を持ち、行動へとつなげていくことが大切なのです。


また教授自身も、昨年から「牛肉を控える」という行動変容を行っているのだそう。「たくさんの牛を育てると、多くのCO₂を排出することにつながるうえ、広い土地が使えなくなる、ということを学生のプレゼンから学びました。これが私の『意識の変化』であり『行動の変化』です」


SDGsのような世界規模の活動や、普段見ているメディア、人権や差別、環境問題のニュースなど信用できそうなものであっても、すぐには信用せず、まずは自分の頭で「本当かな?」と考えること。そしてさまざまな方法で調べ、色々な人と話し合い、行動につなげていく。その姿勢が大切だと言います。


佐藤教授から、最後の問いかけです。


「以下の中から、疑問に思ったり、話し合ってみたいことはなんだろう?」


1)コロナウイルスにどう立ち向かう?


2)ウクライナをどう助ける?


3)日本を元気にするには?


4)ミャンマーを平和にする方法は?


4つの中から考えて選び、理由と共にチャットに書き込みました。「子どもたちの未来が心配なので❸」「現状を知る機会を広めることが大切だと思うので❹」など、思い思いに意見を発表しました。


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セミナーの最後は、ピューさんが母国にいる身近な方々に実際に起きた暴力行為についてお話ししてくださいました。


まずは、ピューさんの高校の先輩。ただベランダで洗濯物を干していただけなのに、デモを鎮圧させようとした軍の流れ弾に当たり即死。お子さんと、介護が必要な高齢のお母さんが残されました。お母さんは、娘がむごい亡くなり方をしてしまったショックで、後を追うように亡くなってしまったそうです。


また、ピューさんの親戚の方は、新型コロナウイルスで亡くなりました。軍がワクチンや酸素の供給を止めたからです。毎朝多くの方が少ない酸素を求めて長い時間並び、分け合っていたとのことでした。


「ミャンマーでクーデターが発生してから、たくさんの罪のない人が亡くなりました。本来国民を助けるためにいるはずの軍が、国民の財産まで没収して、たくさんの人をひどい目に合わせています。ミャンマー国民はこの状況を許していません。戦うつもりです」と、現地の非常に緊迫した声を届けてくださいました。


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世界に興味を持つ「切り口」は、料理をはじめ多岐にわたります。参加者からは、「ミャンマーのことを風化させず、自分に何ができるか考え続けたい」など、多くの感想が寄せられました。ミャンマーの一刻も早い民主化と、人々の安全で平穏な日々の再来を願います。