下高井農林高等学校  国際研究部


フードロスについて考え、SDGsバザーで「よりよい世界のために私たちができること」を実践する。

【テーマ(目標や課題)を選んだ理由】

・農業高校では普段から農業や食について学んでおり、フードロスについて取り組むことは適切であると考えた。

・コンビニやスーパーでアルバイトをしている生徒が多く、賞味期限や消費期限が近い品物が大量に廃棄されているのに気づいている。世界では飢餓で苦しんでいる子ども達がいる一方、日本では年間621万トンのフードロスがあることを伝え、私たちができることはないかを考えさせたかった。

・昨年の文化祭でSDGsカフェを行い、来客者に「よりよい世界のために私たちができること」を書いてもらい好評であった。今年もSDGsバザーで自分たちのできる1ステップを書いてもらうことにより、SDGsを多くの方に知ってもらい、さらにフードロスの抑制やリサイクルで物を大切にすることを意識してもらうことで地域全体の取り組みになるのではないかと考えた。

【テーマを実行するには(方法など)】

・近隣のコンビニやスーパーを訪問し、大量に廃棄される品物をバザー品として提供できないか協力を求める。

・学校内や近隣地域で使用しなくなった日用雑貨や衣類、本などをバザー品として提供してもらうよう呼びかける。

・文化祭のSDGsバザーでは、私たちの取り組み(卒業生の靴を洗って途上国の子ども達に贈っている活動)やSDGsについて知ってもらい、来場者に「よりよい世界のためにできること」を書いてもらう。

・バザー品の売上金はユニセフへの募金と、来場者から書いてもらった「よりよい世界のためにできること」を実現する為に利用する。

《活動内容》

国際研究部員はアルバイトをしている生徒が多く、大量に廃棄される食品や品物があることに気づいていた。野沢温泉村のホテルでアルバイトをしている生徒は許可をもらって食べ残しを写真に撮り、もったいない現状を皆で共有した。日本では、年間643万トンのフードロスが出されている。一方、世界では、9人に1人、約8億2,100万人が飢餓に苦しめられている。全世界で生産されている食料は毎年約40億トン、これは世界中の人びとをまかなうのに十分な量であるのに、食べものが必要な人には届かず、捨てられていることを知った。農林高校では普段から農業や食について学んでおり、食べ物を粗末にすることは生産者にとってとても悲しいことだという意見が出た。

そこで生徒たちは8月下旬から9月頃、近隣のスーパーやコンビニを訪れ、廃棄される商品やサンプル品をバザー品として提供してもらえないか協力を呼びかけた。農林祭(文化祭)1週間前、再び各店を訪れ、賞味期限の近い食品や大量の試供品、サンプル品などを提供してもらうことができた。また、夏休みが始まる前に地元の風太ネットでも自分たちのPR動画を流してもらい、校内だけでなく木島平村とその周辺地域の方々からも多くのバザー品を提供していただいた。

当日(10月16日)、残念ながら台風19号の影響により文化祭一般公開は中止となり、校内のみの開催となった。しかし、多くの方々からご協力をいただき収益金は7,840円に上がり、後日、飯山市災害義援金とユニセフ募金に寄付をした。バザーに訪れた方々には「よりよい世界のためにできること」を付箋に書いてもらい、50円引きサービスを行った。付箋には「節水する」「無駄な買い物を控える」「分別する」など誰もがすぐにできるスモールステップが書かれており、これは校内に掲示し、多くの生徒に見てもらっている。

11月8日に行われた収穫祭では今回の取り組みを全校生徒の前で発表し、SDGsに関するアンケートを行った。「SDGsについて以前から知っていた」という生徒は全回答数133名中14名であった。しかし、「発表後、少しでもSDGsについて理解できた」に「はい」と答えた生徒は110名に増え、「よりよい世界のためにできることをやってみようと思った」生徒も110名であった。「どんなことができるか」という自由回答には、「マイバックを使う」「みんなと仲良くする」「ボランティアに参加する」などが書かれていた。

《活動を通して学んだこと・感じたこと》

「夏休み中に近隣の方がたくさんバザー品をもってきてくれて嬉しかった」「こんなに多くの不要になったものがあるなんてもったいない」「結構使えるものばかり」「台風の影響で一般公開が中止となってしまい残念だった」「農林祭中は友達がバザー品をたくさん買ってくれて嬉しかった」「大切に使ってほしい」など。

文化祭が終わって3日後、国際研究部員の何名かは飯山市が行う災害ボランティアに参加した。泥のかき出しや家具などの清掃、ゴミの分別などを行った。マスクをしても下水の匂いがし、長靴や作業着はすぐに泥で汚れてしまい、復興にはまだまだ時間がかかることや自分たちの手で安心して暮らせる生活を取り戻さなければならないことを強く感じた。近年、気候変動による自然災害が多くなっているとも感じ、自分たちが住む地球もずっと安心して暮らせるよう私たち一人一人が取り組まなければならないということをより一層意識したように思う。自分たちの未来は自分たちが行うスモールステップスが変えると信じて、これからも世界に目を向けた地域活動を継続することを決意した。

《今回の活動から考えられる次の行動》

大型スーパーやコンビニの廃棄する商品には規制があり、安全面から他者へ提供してもらうことはできなかった。しかし、今回、地元密着型のお店の方々からは快く提供していただいた。今後もSDGsバザーを継続し、まだ食べられるのに、まだ使えるのに廃棄されてしまうもったいない商品が少しでも減らせるよう活動していく。また、アルバイトをしているホテルでも食べ残しは持ち帰れるようにタッパーなどを用意してもらうなど、提案していく。

12月20日、今回の取り組みを信州SDGsフォーラムで発表する機会をいただいた。企業の方やSDGsに関心のある大人の方に向けて発表するのはとても緊張していたが、発表した生徒は高い評価をいただき自信を持った様子であった。発表後、有機農業に取り組んでいる方から声をかけていただき、今後、企業と高校生が連携した取り組みができないか模索中である。